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核医学画像診断では,放射性物質注入後,画像を得るために特別な検出器(ガンマカメラ)を使用する。これは冠動脈疾患(CAD),弁膜異常,先天性心疾患,心筋症,およびその他の心疾患を評価するために実施される。核医学画像診断は,同様のX線検査と比べて患者の被曝線量が少ない。しかしながら,放射性物質は患者の体内に短時間保持されるため,そのような検査を受けてから数日間,(例えば,空港内の)精巧な放射線警報が患者により作動することがある。
二次元画像を作るプラナー法はめったに使用されず,三次元画像を作るために回転式の撮影装置および再構成された断層像を用いる単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)は,米国でより一般的である。マルチヘッドのSPECT装置を用いれば,10分以内に画像が得られることが多い。定量的表示により,負荷時と遅延時の画像の目視による比較を補足できる。SPECTを用いて下壁および後壁の異常,小さな梗塞巣,および梗塞の原因となる血管を同定できる。梗塞した心筋とバイアビリティのある心筋の量を定量化できるため,予後の判定に役立つ。
心筋灌流イメージング
心筋灌流イメージングでは,静注された放射性核種を心組織が灌流におおよそ比例して取り込むため,取り込みが少なくなった領域が相対的または絶対的な虚血を示す。このため心筋灌流イメージングは,原因不明の胸痛を訴える患者の評価,血管造影でみられる冠動脈狭窄または側副血管の機能的意義の判定,再灌流インターベンション(例,冠動脈バイパスグラフト術[CABG],経皮的インターベンション,血栓溶解)の成功の評価に負荷試験と併せて用いられる。心筋灌流イメージングは急性心筋梗塞による灌流障害の範囲,以前の梗塞による瘢痕化の範囲,梗塞周囲の生存領域またはその他の可逆的虚血領域を示すことが可能なため,急性心筋梗塞の予後の判定に役立つ。
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カリウム類似体として作用する放射性タリウム-201(201Tl)は,負荷試験で従来用いられたトレーサーである。放射性タリウム-201はピーク負荷で注入し,SPECTで描出し,4時間後に元用量の1⁄2を安静時に注入してSPECTで再描出する。このプロトコルの目的は,治療が必要となりうる可逆性の灌流欠損を評価することである。負荷試験の後,正常な冠動脈と狭窄より遠位の冠動脈の間の灌流不均衡は,狭窄動脈が灌流する領域の201Tl取り込みの相対的減少として現れる。201Tlを用いた冠動脈疾患の負荷試験の感度は,画像描出を運動後に行っても薬理学的負荷後に行っても同様である。
201Tlの画像特性はガンマカメラに理想的でないため,いくつかのテクネチウム-99m(99mTc)心筋灌流マーカー,すなわちセスタミビ(よく使用される),テトロホスミン,およびテボロキシム(心血管検査および手技: テクネチウム-99m心筋灌流マーカー表 6: を参照)が開発されている。プロトコルには,2日間の負荷-安静検査,1日の安静-負荷検査,1日の負荷-安静検査などがある。プロトコルの中には二核種(201Tlおよび99mTc)を用いるものもあるが,この手法は高価である。これらのマーカーのいずれかを用いると,感度は約90%,特異度は約71%である。
表 6 | ||||||||||||
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2日間のプロトコルでは,もし最初の負荷試験で灌流に異常がないことが示されれば,安静時の画像が省略されることがある。より高い99mTc線量(30mCiを上回る)を使用する場合は,(心室造影を用いた)初回循環時法を灌流イメージングと組み合わせて使用できる。
その他の放射性核種には,虚血性の心筋部位にコールドスポットを作り出すヨウ素-123(123I)標識脂肪酸;(例えば,急性炎症性心筋症における)活動性の炎症部位に蓄積するクエン酸ガリウム-67(67Ga);および,交感神経系のニューロンに取り込まれ蓄積され,また心不全,糖尿病,ある種の不整脈,ならびに不整脈原性右室異形成症を評価するために研究で使用される神経伝達物質の類似化合物であるヨウ素-123(123I)メタヨードベンジルグアニジンがある。
上層の軟組織による心筋の放射能量の減衰が偽陽性をもたらすことがある。女性では乳房組織による減衰が特によくみられる。横隔膜および腹部内容物による減衰のため,偽性の下壁部欠損像が男女で得られることがあるが,男性により一般的にみられる。減衰は201Tlよりも99mTcでより起こりやすい。
梗塞親和性イメージング
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梗塞親和性イメージングでは,99mmTcピロリン酸および抗ミオシン抗体(インジウム111[111In]で標識された心臓ミオシンに対する抗体)などの,傷害心筋領域に蓄積する放射性標識マーカーを使用する。集積像は通常,急性心筋梗塞発症の12〜24時間後より陽性となり,陽性が約1週間続く;心筋梗塞後に心筋壊死が持続する場合,または心室瘤を形成する場合,それらは陽性のままである。その他の心筋梗塞の診断検査(例,バイオマーカー)がより簡単に利用でき,安価であること,また,この技術からは梗塞の大きさ以外の予後情報が得られないことから,この技術は現在ほとんど使用されていない。
放射性核種心室造影法
放射性核種心室造影法は心室機能の評価に用いられる。冠動脈疾患,心臓弁膜症,先天性心疾患の安静時および運動時の駆出率を測定するのに有用である。一部の臨床医は,心毒性の癌化学療法(例,アントラサイクリン)を受けている患者の心室機能を経時的に評価するのにこれを選択する。しかしながら,放射性核種心室造影法の代わりに,より安価で,放射線被曝が不要で,理論的に同程度正確に駆出率を測定できる心エコー検査が多く使われるようになってきている。
99mTcで標識した赤血球を心室に注入する。左室(LV)機能および右室(RV)機能は,初回循環時検査(1つの拍動から次の拍動までを評価する方法),または数分間にわたる同期(心電図同期)血液プール像(マルチゲート収集法[MUGA])によって評価できる。いずれかの検査を安静時または運動後に行うことができる。初回循環時検査は速くて比較的簡単だが,マルチゲート収集法はより優れた画像が得られ,より広く使用される。
初回循環時検査では,マーカーが血液と混ざり中心循環を通過する際に8〜10回の心周期を描出する。初回循環時検査は右室機能および心臓内シャントを評価するのに理想的である。
マルチゲート収集法では,画像は心電図のR波と同期する。各心周期の短時間の連続した時相で複数の画像を5〜10分にわたって撮像する。コンピュータ分析により心周期の各時相における平均的血液プールの状態を収集し,その状態を心臓の拍動と類似した連続的動画ループに統合する。
マルチゲート収集法により,局所の壁の運動,駆出率(EF);1回拍出量と拡張終期容量の比率,駆出速度と充満速度,左室容量,および相対的容量負荷の指標(例,左室:右室1回拍出量比)を含む多数の心室機能の指標を定量化できる。駆出率は最もよく用いられる。
安静時のマルチゲート収集法は実質的にリスクがない。この方法は,様々な疾患(例,心臓弁膜症)における右室および左室機能の連続的評価;心毒性の恐れのある薬物(例,ドキソルビシン)を服用している患者のモニタリング;および,冠動脈疾患または心筋梗塞の患者における血管形成術,CABG,血栓溶解療法,およびその他の手技の効果判定に用いられる。不整脈は,正常な心周期がほとんどみられないことがあるため,相対禁忌である。
左室: マルチゲート収集法は左室瘤の検出に有用で,典型的な前壁または前壁心尖部の真性心室瘤の検出感度および特異度は90%を上回る。従来の心電図同期心プール画像は,前壁および側壁の心室瘤ほど良好には左室下後壁の心室瘤を描出できないため,追加撮像が必要となる。心電図同期SPECT画像診断法は,単一プラナー心電図同期画像(5〜10分)に比べて時間がかかる(マルチヘッド撮影法で約20〜25分)が,心室内の全部分が描出される。
右室: マルチゲート収集法は,肺疾患患者または右室病変を伴っている可能性のある左室下壁梗塞患者における右室機能を評価するのに用いられる。正常の場合,右室駆出率(ほとんどの方法で40〜55%)は左室駆出率より低い。多くの肺高血圧患者,および右室梗塞または右室に影響する心筋症を有する患者では,右室駆出率は正常値以下である。通常,右室よりも左室でより多くの機能障害が起こる典型的な冠動脈疾患とは異なり,特発性心筋症は通常,両心室の機能低下を特徴とする。
弁: マルチゲート収集法は,左室容量負荷に至る弁膜異常を評価する安静-負荷プロトコルとともに用いることができる。大動脈弁閉鎖不全では,安静時駆出率の低下または運動時駆出率の非増加は,心機能悪化の徴候であり,弁修復術の必要性を示唆することがある。マルチゲート収集法はあらゆる弁の逆流における逆流率の計算にも用いられる。正常では,2心室の1回拍出量は等しい。しかしながら,左側の弁閉鎖不全がある患者では,左室1回拍出量が逆流率に比例して右室のそれを上回る。したがって,もし右室が正常ならば,左室:右室1回拍出量比から左室の逆流率が求められる。
シャント: マルチゲート収集法および市販のコンピュータプログラムでは,先天性シャントの大きさは1回拍出量比,またはマーカーの初回循環時における総肺放射能に対する異常な早期肺再循環放射能の比を求めることで定量化できる。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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