人間はどうやら自分の脳を麻痺させる能力があるようだ。
でなければ、右を見ても左を見ても危機だらけの日常で暮らせるはずがない。
巨大地震に巨大津波、放射能汚染に風評被害、電気代の値上げ、消費税
アップ、ガソリン代の高騰、そして空からのミサイルである。
ここまでくると怖いというより、完全に思考停止で別の惑星の話ではないかと
脳が思おうとするようだ。
個々人の防災意識も帰宅後は知らないが、外出している人々を見る限りは
切迫感をまるで感じない。
だが、この記事を読んだらそんなほんわかムードも吹き飛ぶだろう。
現代ビジネスより、わかりやすい脅威の現実を読み取らせて頂いた。
せっかくなので、1人でも多くの人々に届けたい。
だいぶ長いが素晴しい記事なので以下、転載。
-------------------------------------------- 現代ビジネス 経済の死角より転載開始⇓⇓
ぶち抜き大特集! 本当の標的はニッポンだ
ふざけんな北朝鮮
金正恩「4・12ミサイル発射」全情報
信用ならない国とその能力 日本は射程距離内。誤って墜ちる可能性がある。
アメリカとの交渉に臨み、「融和姿勢」を見せたかと思いきや、一転「ミサイル発射」を
宣言し、その本性を現した金正恩。その不可解な行動の真の狙いはどこにあるのか。
ミサイルは日本にも飛んで来るのか。一気に緊迫する東アジア情勢。
現状と今後の展開を、徹底リポートする。
「ミサイルの発射確率は、99・9%と見ていい。一度発射を宣言してしまった以上、ここで引い
てしまっては『稀代の腰抜け』とみなされ、金正日の後継者とは認められなくなってしまいま
す。金正恩は自分で、引くに引けない状態をつくってしまった」(韓国・ソウル大学統一平和研
究院・張容碩博士)
ついに金正恩がその本性を現した---。
去る3月16日、北朝鮮の「朝鮮宇宙空間技術委員会」は地球観測衛星「光明星3号」を運搬
ロケット「銀河3号」に搭載し、4月12~16日の間に打ち上げると発表した。
同委員会はこの打ち上げを「平和的宇宙利用技術を新段階に引き上げる」ためだと強弁し
ているが、北朝鮮は'09年にも人工衛星打ち上げという名目で弾道ミサイルを発射している。
今回も同様に、弾道ミサイルの発射実験であることは論を俟たない。
北朝鮮は昨年12月17日に金正日総書記が死去して以来、目立った軍事行動を取ってこな
かった。ところが、わずか3ヵ月間の「服喪期間」が終わった途端に弾道ミサイル発射を予告し
てきたのである。
発射が止められないことが確実な以上、われわれ日本人にとって何より不安
なのは、 「ミサイルが日本に飛来する可能性があるのかどうか」である。
北朝鮮は、過去3回にわたって「テポドン」の発射実験を行っている。
'98年8月に発射されたテポドン1号。1段目は日本海に落下、2段目は日本列島上空を飛び
越え、三陸沖の太平洋に落ちた。3段目はさらに飛行し、三陸からさらに遠方の太平洋に
落下したと推測された。
'06年7月の実験では、ノドンやスカッドなど計7発ものミサイルを「乱れ撃ち」し、うち1発が
射程6000kmとされるテポドン2号(3段式)だった。だが、このときは発射後1分も経たない
うちに空中爆発してしまったため、その性能は判然としない。
有毒物質が撒き散らされる
記憶に新しいのは、'09年4月のテポドン2号発射実験だろう。この時は日本本土上空を
飛行することが予め通告されていたため、浜田靖一防衛相(当時)が国内落下に備えて
「破壊措置命令」を発令。日本海にイージス艦が展開し、飛行コース直下の秋田、岩手の
ほか、首都圏にも迎撃ミサイル・パトリオット(PAC3)を配備した。
幸い、発射されたテポドンは日本に落下しなかったものの、2段目と3段目の切り離しに
失敗し、3000kmほど飛行した時点で太平洋上に落下したと考えられている。
先述の通り、'06年の実験では、発射されたテポドン2がものの数十秒で空中爆発した。
今回の打ち上げでも、想定外のトラブルが起こる可能性は否定できない。
「不測の事態に備え、防衛省は'09年の発射時と同様、ミサイル防衛システム(MD)による
迎撃準備を検討している。具体的には、計画飛行ルート海域にイージス艦数隻を展開する
とともに、沖縄県本島や石垣島にPAC3を配備する内容です」(防衛省幹部)
では、この迎撃体制はどのように機能するのか。専門家の意見を総合して、発射日当日
の様子をシミュレートしてみよう。
北朝鮮が想定する発射日は4月12~16日と、幅がある。これは、強風など気象条件が
悪い場合、飛行ルートに誤差が生じてしまうためだ。今回のミサイル発射は、金日成主席
生誕100年という重要な国家イベントであり、失敗は許されない。当然、北朝鮮も打ち上げ
に際しては細心の注意を払うとみられるが、それでも不安は残る。
日本に向かってミサイルそのものが飛来してくる可能性もあり得るが、より現実的に
起こりうるのが「切り離し」のミスによって、ミサイルの部品が飛来してくることだ。
防衛省幹部が指摘する。
「'09年に発射されたテポドン2号は、2段目と3段目の切り離しができず、両者は一体と
なって海に落ちたと推測されている。今回の発射でも、切り離される過程でトラブルが
起こる可能性は十分ある。
例えば、1段目との切り離しの際、2段目の点火に不具合が起これば、ミサイルの飛ぶ
方向がガラリと変わり、日本本土に飛来する恐れもある。
また、そこまでひどくなくとも、切り離しの不具合により、ミサイルのブースターや部品類が
飛行ルート直下に位置する沖縄周辺に落下するかもしれない」
この幹部は、だからこそ防衛省はイージス艦やPAC3を配備する必要があると説明する。
だが、残念ながら迎撃が成功するとは考えにくい。
ミサイルやその部品が落下してくる場合の迎撃の手順はこうだ。
いざミサイルが発射されると、最初に探知するのはインド洋上空に位置するアメリカの
「DSP衛星」だ。
この衛星はミサイル発射に伴って大量に放出される赤外線を感知し、ミサイル発射情報
を米本国および在日米軍基地に伝える。
さらにDSP衛星からもたらされたミサイル発射の第一報は米軍基地を通じて、ほぼ瞬時
に日本のイージス艦にも伝えられる。その後は、イージス艦のレーダーも併用し、ミサイル
の軌道計算が行われるが、分析に要する時間は発射から4~5分と見積もられる。
この時点で、ミサイルが予告通りのルートを飛行すると判断されれば迎撃は行われない。
一方、ミサイル本体が何らかのトラブルで日本領土に落ちる可能性がある場合は、
スポンジはどのように多くの体の開口部がありますか?
イージス艦が迎撃ミサイルSM3を発射する。これは、大気圏外を飛行中の弾道ミサイル
を赤外線画像認識により捕捉・追尾し、迎撃するものだ。
さらに、SM3での迎撃が失敗した場合は、地上に配備されたPAC3からパトリオット・
ミサイルを発射し、飛来するミサイルを着弾寸前に撃破する。
また、部品が落ちてくる場合も、PAC3で迎撃を試みることになる。
だが、元陸上自衛隊一等陸佐の佐藤正久・自民党参院議員はこう首を捻る。
「確かに、予定されていた軌道通り飛来してくるのであれば迎撃ミサイルをぶつけることも
できるでしょう。しかし、トラブルによって軌道がずれてしまったミサイルを迎撃するのは
非常に難しい。PAC3もSM3も、『飛んできた鉄砲の玉を、鉄砲の弾で撃つ』ようなもの
ですから」
元航空自衛官で、軍事ジャーナリストの潮匡人氏も、落下する部品を迎撃することは
不可能だという。
「PAC3は弾頭部分の迎撃であればかなりの高確率で当てることができます。しかし、
トラブルによって破損した部品や破片などは、空気抵抗もあって不規則な運動をしながら
落下してくる。こういう不規則な動きは計算できませんから、迎撃するのは難しい」
そもそも、PAC3の限られた配備数では守備範囲に限界があるというのは軍事ジャーナリス
トの黒井文太郎氏だ。
「PAC3は一機あたり周囲20kmしかカバーできません。今回は沖縄本島や石垣島に
配備されるようですが、それだけでは沖縄の離島すべてを守ることなど不可能です」
そして迎撃をかいくぐったミサイルや部品は、日本に少なからぬ被害をもたらす。
「仮に、ミサイルの2段目より上部がそのまま落下するとなれば、重さ数十tの物体が音速で
落ちてくる計算になる。それがどの程度の破壊力か試算は難しいが、市街地に落ちれば
多くの死傷者が出るだろう」(防衛省幹部)
さらに憂慮すべき事態も考えられる。北朝鮮ミサイルの燃料には「ヒドラジン」なる有毒
物質が用いられており、万が一、燃料が残った状態のミサイルが落下すると、
その周辺に甚大な被害をもたらすというのである。
ヒドラジンは強い発火性があるため、落下地点周辺で火災を発生させる恐れがある。
また、この物質は発がん性が高いうえ、吸い込んだり、皮膚に触れただけで死亡する
こともある。
ロシアの宇宙基地からのブースターの落下が多いノボアレイスコエ村では、ヒドラジン
の影響により、頭が2つの魚や、足のない乳牛が生まれたほか、多くの人が慢性的な
頭痛に悩まされるという。
'09年のテポドン2号発射の際には、想定飛行ルート直下の岩手県で生物・化学災害
対応特別救助隊が編成され、ミサイル落下に備えていた。今回もそうした対策を講じる
べきではないか。
迎撃ミサイルは役に立たない
原発施設は大丈夫か、いちばん近い九州は?
先に見たように、北朝鮮のミサイル襲来に対し、日本には防御する手立てがない。
前項では市街地に落ちる可能性を指摘したが、今回の飛行ルートを追っていくと、ミサイル
に不具合が起こった際に直撃する可能性が高いのは、九州地方であることが予測される。
そこで最も憂慮されるのは、ミサイル本体やブースターなどが、佐賀県東松浦郡玄海町の
玄海原発、あるいは鹿児島県薩摩川内市久見崎町にある川内原発を直撃する事態だ。
もし、これらの原発にミサイルやブースターなどが落ちたらどうなるのか。かつて東芝に
勤務し、原発の格納容器設計者だった後藤政志氏はいう。
「そもそも、原子力プラントは航空機が事故で突っ込むような事態さえ
想定していません。ですから、もし音速を超えるようなスピードで数tもの物体が
落ちてくれば、想像を絶する事態になります。破壊される程度にもよりますが、
格納容器、さらに圧力容器が破壊されるようであれば、放射性物質が大量に
放出されてしまう」
また、仮に炉心の真上に落下しなくとも、破片などが周辺に落ちれば、メルトダウンが
起こる恐れがあると警告するのは、元衆院議員で防衛政策アナリストの米田建三氏だ。
「炉心が無事だったとしても、ミサイルの破片などが周辺にある電気系統を破壊してしまえ
ば、福島第一原発と同じように給水ポンプが止まり、冷却機能が失われる。そうなれば
メルトダウンに至るでしょう」
その場合、被害はどこまで広がるのか、手がかりとなる論文がある。'10年に立命館大学
の学生が執筆した『佐賀県玄海原子力発電所におけるプルサーマル事故被害予測』だ。
同論文は、玄海3号炉の炉心冷却系が故障して炉心が溶融、格納容器内の放射能が
周囲に吹き出すことを想定しているが、そのシミュレーション結果は凄まじい。
まず、玄海原発から10km以内の玄海町、呼子町、鎮西町では、全人口が急性障害に
よって死亡。また、玄海原発から10〜20km以内に位置する市町村でも、人口の6〜9割が
急性死に至るとの結果が出た。
被害はそれだけではない。晩発性のがんによる死者も多く、西から風が吹いた場合、
福岡では200万人、大阪では48万人、東京や愛知でも、ざっと25万人が晩発性がんに
よって死亡するという。
一方、ミサイルの軌道が大幅に逸れることも考えられる。その場合、
危険なのは福井県若狭湾に位置し、14基もの原発がひしめく「若狭原発群」に
ミサイルが落ちることだ。
「京都大学原子炉実験所助手で、'94年に亡くなった瀬尾健さんが、原発別に、
破局事故が起きた際の詳細な被害予測を立てています」(前出・米田氏)
その概要は次のようになっている。
〈敦賀2号炉〉 敦賀市の人口のうち、99%が急性死。〈美浜3号炉〉敦賀市、美浜町の
90%以上が急性死。
〈大飯2号炉〉小浜市、高浜町、おおい町の90%以上が急性死する。
まるでSF映画のシナリオのようだが、しかし北朝鮮のミサイル発射が確実である以上、
「現実に想定されうる事態」であることは、間違いないのである。
中身は何だ
ミサイルはいつ、どこを飛び、どんな性能なのか
「4月に飛んでくるミサイルは、これまでとは性能が違う、まったく新しいミサイルの可能性が
ある。日本はもちろん、アメリカにとっても脅威となるでしょう」
こう語るのは、元韓国国防省分析官で拓殖大学国際開発研究所研究員の
高永迵氏だ。世界中の軍事関係者が、北朝鮮が放つミサイルの性能を注視している。
各種の情報を総合すると、現在北朝鮮は次のようなミサイルを保有している。
スカッド・・・旧ソ連製ミサイルをコピーしたもので、射程約300kmのBタイプ、射程500kmの
Cタイプがあり、保有数はあわせて600基。
lithum elemtは何ですか
ノドン・・・スカッドを改良した中距離ミサイルで、射程はほぼ日本全土を収める1300km。
保有数は200~300基。
ムスダン・・・'10年10月10日の朝鮮労働党創建65周年で披露された中距離ミサイル。
射程は3000~4000km、配備数は不明。
そして注目すべきは、今回使用されるとみられる長距離弾道ミサイル「テポドン」だ。
保有数は不明だが、北朝鮮はこれまで、'98年、'06年、'09年の3回にわたってテポドンの
発射実験を行っている。
前出の高氏は、「以前に比して格段に性能がアップしている恐れがある」と指摘したが、
それには理由がある。高氏が説明する。
「北朝鮮の発表によると、ロケット(ミサイル)の1段目は韓国の西方沖、2段目はフィリピン
東方沖に落下するとしていますが、2段目の落下地点であるフィリピン東方沖は発射地点
から実に3000kmも離れている。ということは、3段目以降は5000~6000km程度まで飛行
すると考えられます。これまでテポドン2号は射程6000kmと推定されながらも、実際には
3000kmしか飛んだことがない。
そこで、今度こそ5000~6000kmという飛行距離を見せつけ、グアムが完全に射程距離に
入ったことをアメリカにアピールする狙いがある。もし、それほどの飛距離を出せるので
あれば、これまでとは性能が段違いに上ですから、『テポドン3号』と呼んでもいいかも
しれません」
無論、アメリカもこの新型ミサイルには警戒感を抱いている。米国戦略国際問題研究所
(CSIS)のラリー・ニクシュ研究員が指摘する。
「すでに北朝鮮はアラスカやハワイを射程に収めるミサイルを保有していると考えられるが、
もしかすると、米本土も狙えるミサイルを開発したのかもしれない。
また、核の小型化も進んでおり、早ければ1~2年のうちにミサイルに搭載可能な核弾頭を
開発するだろう。そうなれば、アメリカにとって大きな脅威となる」
不気味なのはミサイルの性能だけではない。発射地点が、従来使用されてきた北朝鮮
北東部の舞水端里ではなく、北西部の鉄山郡にある東倉里基地に変更されたことも注視
すべきだ。
「北の核開発の拠点である寧辺は舞水端里からは300kmほど離れているが、東倉里は
70kmと近い。こうした位置関係を踏まえると、今回の発射基地変更は『寧辺で開発した
核弾頭を短時間で東倉里のミサイルに装着できるぞ』というアメリカへの脅しだろう」(
公安関係者)
一発のミサイルで、北朝鮮は世界のパワーバランスを変化させてしまうのだろうか。
金日成生誕100周年に何の成果もなく焦る
金正恩の狙いは何か
「今年の太陽節(4月15日に迎える、金日成主席の生誕100周年記念式典)は祖父を讃える
重要な日であるが、同時に私にとっても大事な出発点である。この日に向けて、わが軍と
国家の力を、内外に示さなければならない!」
金正恩の大号令が北朝鮮国内に轟いている。父・金正日の時代から、「2012年の太陽
節に、わが国は強盛大国(軍事、経済ともに一流の国になる)への扉を開く!」と喧伝してきた
ために、なんとしてでも国民に向けて、「目に見える成果」を示さなければならない金正恩。
ところが、経済政策も食糧政策も、芳しい業績を挙げることができていないのが現状だ。
金正恩は'09年に後継者に指名されて以降、外資の導入による経済発展を志向していた。
北朝鮮が存続するには、それしか方法がない---そう考えていたのである。昨年6月には中朝
国境に近い羅先特別市と、黄金坪島などに経済特区を設け、ここを「経済発展の象徴」
とすることに全力を挙げていた。
金正恩は、中国に羅先港の4号、5号、6号埠頭の建設を許可、かつ50年間独占的に使用
させるという権利も認め、その対価として中国から30億ドルを受け取っている。これは金正恩
政権にとって貴重な財源となったのだが、こうした「功績」は国内ではほとんど知られていない
模様で、「強盛大国」への道を拓いたというアピールにはなっていない。正恩の経済的な実績
はいまだゼロとされているのだ。
さらに、食糧の確保も満足に進められなかった。
「2月16日の父上の生誕日には、国民にコメと鶏肉を配給し、これを盛大に祝えるようにする」
正恩は各方面にこう伝達し、正日の死後、食糧の確保に奔走させたが、結果は芳しく
なかった。2月16日を迎えても、都市部にさえ満足な食糧を配給することができなかった
のである。
厳しい食糧事情に直面していた正恩にとって唯一の頼みが、米朝交渉を進展させる
ことで、アメリカからの食糧援助を得ることだった。しかし、その期待も裏切られることになる。
CSISのラリー・ニクシュ氏が説明する。
「先の米朝合意でアメリカが北朝鮮に提示した食糧援助は、ほとんどが栄養補給サプリメン
ト、しかも幼児〝子ども〟妊婦のためのものだった。実は北朝鮮は1月の時点で援助用の
食糧の内容を変えるようにアメリカにプレッシャーをかけていた。具体的にはコメとトウモロ
コシを要求したのだが、アメリカがこれに応えなかったために、北朝鮮の食糧事情改善の
のぞみは絶たれてしまった」
国内からみれば、正恩はまるで成果を挙げられない無能な指導者なのである。
そして、求心力の低下に焦る正恩にとって、唯一残されていたのが、「軍事的な成果を
誇示する方法」だったのだ。
韓国・世宗研究所の鄭成長博士は、金正恩のミサイル発射の狙いをこう分析する。
「北朝鮮国内で、父・金正日の最大の功績とされるのは、核の開発に着手したことだ。
これによって、北朝鮮がアメリカや日本・韓国と〝対等な交渉〟ができるようになった。
そして息子・正恩はアメリカまで届く弾道ミサイルを開発し、さらには核兵器の小型化を
成功させ、父にも劣らない業績を誇示し、求心力を高めるための手段にしようと考えて
いるのです」
韓国・国防大学の金蓮洙教授も、「今回のミサイル発射は、金正恩が国内の求心力を
高めるために、自ら決定したものだ」と分析している。
「アメリカ、日本、韓国との交渉用に発射したという文脈で解釈すれば、この発射後に
日米韓から劇的な妥協を引き出して、金正恩の外交成果と喧伝し、国内の求心力を得る-
--それが金正恩の狙いだと考えられる」
しかし、事態が金正恩の考えているように動くかといえば疑問である、と金教授は付け
加える。
「ミサイルが発射されれば、日米韓は態度を硬化させるかもしれないし、中国から受けて
いる支援も中止される可能性もある。そうなれば、金正恩にはさらに厳しい評価が下される
ことになる。追い込まれた正恩は、打開のために再び国際情勢を緊張させようと、また違う
挑発手段に打って出てくるかもしれない」
幼き指導者・金正恩。その行動はきわめて場当たり的かつ思慮の浅いものである。無能な
男が、軍事国家のトップを務めている。これこそが世界にとって最大の不幸なのである。
「ミサイル3人組」に「新・軍事強硬派」が台頭
北朝鮮国内は今どうなっているのか
去る2月15日、北朝鮮で今後の金正恩体制を占う重要な人事が断行された。朝鮮人民軍
クローンは、この病気は全人口を一掃することができます。
将校の管理を担当する総政治局の責任者で、金正恩の世話人の一人とされる金正覚が、
大将から次帥に昇格したのをはじめ、正恩に近しい人物が、次々と昇進を決めたのだ。
新体制作りが着々と進められているのである。
この人事の中で、韓国国防部の幹部の一人は、ある共通点を持った3人の男が同時に
昇進したことに強い関心を寄せている。
「朴道春、朱奎昌、白世鳳の3人が昇進を決めたが、この3人はそれぞれ北朝鮮のミサイル
政策に深く関与してきた人物だ。
朴はミサイル政策に携わってきた人物で、'10年に金正恩が江原道のミサイル基地を
視察した際に同行し、正恩にミサイルの性能について説明した。
朱奎昌はミサイル開発に尽力してきた軍幹部で、'09年には国連安保理による渡航禁止
対象者の候補とされた〝危険人物〟だ。さらに白世鳳は『第二経済委員会』という、長距離
ミサイルを製造・輸出する部門で委員長を務めた経験を持っている」
この「ミサイル3人組」を同時に昇進させたことから、正恩の狙いが見えてくる、とこの
国防部幹部は語る。
「金正覚を筆頭に、この3人は間違いなく正恩体制を固める中心的存在となるはずだ。
おそらく正恩はこの3人に功績を持たせ、忠誠を誓わせるためにもミサイル発射を決意した
のではないか。つまり、この3人が昇進した時点で、ミサイル発射は必然であった、という
ことだ。
であるならば、金正恩は今後も求心力を高めるために、側近らの意向に沿った行動をとる
ことになるかもしれない。なかでも、朱奎昌は核搭載ミサイルの開発にも深く関わってきた
人物で、この男が権力の中枢に潜り込んだという事は、今後北朝鮮で核ミサイル開発が
加速度的に進み、かつ核の実験が容易に行われると予想できる」
このように北朝鮮内部では現在、本格的な「正恩体制」構築のための人事改革が進めら
れているのである。そして別の国防部幹部によると、この新人事から、金正恩体制の
「攻撃的な側面」が読み取れるという。
「2月15日に金英徹が大将に昇進しているが、金英徹は天安号爆破事件('10年3月に起き
た、北朝鮮による韓国哨戒艦の爆破事件)を主導したとみられており、北朝鮮内部で新しい
強硬派が台頭してきていると考えている。こうした強硬派の発言力が党・軍内部で拡大して
いけば、金正恩政権は正日時代にも増して、韓国に対する挑発行為を繰り出すようになる
かもしれない」
そして、もっとも大きな人事改革が断行される日が迫っている。4月中旬に開かれる
「第4回朝鮮労働党代表者会」である。
この日、金正恩が朝鮮労働党中央軍事委員長に選出されるのを皮切りに、党・軍の要職が
正恩に近しい人物らによって固められることになる。端的に言えば、金正日に忠誠を誓った
旧幹部らが次々と職を解かれ、「世代交代」が進められるのである。
このとき、北朝鮮では新旧の権力が正面からぶつかり合い、国内に大きな断裂が生まれる
ことが予想される。
実は、その兆候はすでに現れている。
今年1月、金正恩の指令によって、旧幹部の一人である人民武力部副部長が〝粛清〟
されたというのだ。金日成主席の死後、金正日は次々と日成の側近らを粛清し、自身の
足場を固めていったが、それと同じ事が再び繰り返されようとしているのである。
「現在北朝鮮内部では、金正恩に対して少しでも異を唱えたり、彼の神性について疑義を
挟むものがいないか、あぶり出しをしている。そのため、これまでは発言力を持っていた
幹部連中でも口をつぐまざるを得ない状況になっているようだ」(韓国外交通商部関係者)
しかし、「追われる身」が黙ったままでいるとは限らない。ここで、一人の軍幹部の動向に
注目が集まる。
粛清された人民武力部副部長の上司にあたり、金正恩の路線に異を唱えてきた金永春・
人民武力部長。金日成の死後に起こった「反金正日運動」を押さえ込んだことが評価され、
正日の右腕となったこの男は、正日亡きいま、次になにが起こるかを想像し、対抗策を
講じているはずだ。
新世代と旧世代の衝突が起こる4月中旬以降にこそ、北朝鮮内部に最大の混乱が
生じる。そのときにはミサイル発射以上の事態が起こることも想定しておかなければ
ならないのである。
なめられている
日本はこのまま黙って見ているのか
「明確な国連安全保障理事会決議違反だ。関係国と連携しながら、強く自制を求めていく!」
北朝鮮のミサイル発射予告を受けて、野田佳彦首相は高々とこう宣言した。
しかし、その威勢の良さとは裏腹に、具体的な対抗策が練られている様子はない。
「野田首相は首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を置き、情報収集体制を強化する
ことを決めましたが、それ以外に特筆すべき対策案は浮上しませんでした」
(民主党中堅議員)
拉致問題・日本人妻問題を解決し、支持率向上につなげたい野田首相としては、
北朝鮮を刺激することなく、この問題が喉元を過ぎるのを待っていたい、それが本音
なのである。
しかし、採るべき方策がない、というのが本当のところかもしれない。
元外務大臣秘書官で、外交評論家の宮家邦彦氏が解説する。
「結論からいえば、日本がとれる具体的な対抗策は限られているのです。まず、経済制裁を
すべきだという議論が出るでしょうが、すでにいくつもの経済制裁を発動しているなかで、
日本一国でとれる新たな制裁には限界があります。
具体的な策としては、ミサイル発射後に日米韓のさらなる連携強化を確認し、国連安保理
での非難・制裁決議採択の可能性などについて、水面下での意見交換を進めることです」
日本政府は、'06年に北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、さらに核実験にも着手した際、
「北朝鮮籍船舶の入港禁止」「北朝鮮からの輸入禁止」措置をとり、続いて'09年に弾道
ミサイルを発射し、2度めの核実験を行った際には「輸出の全面禁止」と「日朝間での人的
往来の規制」などの制裁措置をとってきた。しかし、これらの制裁がどれだけの効果を
挙げたのか、疑問視する声も多い。
自民党の佐藤正久参議院議員は「経済制裁はやりつくしているので、その他の対抗手段
をとる議論をすべき」と提唱する。
「安保理決議に反してミサイルを打ち上げるわけですから、今まで以上に厳しい対応を
すべきときがきたのです。個人的には北朝鮮のミサイル基地を攻撃するという議論を
始めるべきだと思います。これは自衛権の範囲内ですから、まず攻撃の議論をするだけ
でもかなりの対抗策になるのではないか、と考えています」
本気になれば北朝鮮にプレッシャーを与えることは可能、というのが佐藤議員の主張だ。
しかし民主党政権にはその気運はみられない。〝安全保障のプロフェッショナル〟たる
べき田中直紀防衛相にいたっては、こんな失態を犯す始末。
「3月21日の記者会見では、『(北朝鮮の行動に備えて)イージス艦と〝P3C〟の配備も
検討している』と答えていましたが、P3Cは監視用の哨戒機。おそらくPAC3と間違えた
のでしょうが、その程度の見識の人間が防衛のトップを務めているのですから、北朝鮮
に有効な対策を講じることなど、期待できません」(全国紙政治部記者)
前出の宮家氏はこう指摘する。
「経済的に成功した日本や韓国にとって、北朝鮮を刺激すると〝失うもの〟が多すぎる。
しかし北朝鮮はこうした『誰も事を荒立てたくない』という状況を最大限利用して、
過去20年間、利益の最大化に成功してきた。金正恩の時代になっても、この北朝鮮の
基本姿勢は変わらないのです」
腰の引けた状態では、相手を増長させるだけ。
いったいいつになったらそのことに気づくのだろうか。
制御不能
アメリカと中国は何を考えているのか
3月16日、中国外交部副部長(副大臣)の張志軍が、池在龍・駐中国北朝鮮大使を
中国外交部の応接室に呼び出し、ミサイル発射の「真意」について次のように質している。
張「今回の衛星発射は、わが国を含む国際社会が大変憂慮している。発射は断念して
ほしい」
池「『光明星3号』の発射は、将軍様の遺訓であり、わが国が強盛大国への扉を開くための、
大事な行事だ。絶対に成功させる」
張「強行すれば、朝鮮が東アジアのシリアになるぞ」
池「わが国にはすでに核弾頭があり、もし他国が攻撃しようものなら、叩きのめしてやる」
張「われわれは、新たな指導者(金正恩)に対して十分な礼を尽くしており、多方面で援助を
行ってきた」
池「それには感謝しているが、この発射はわが国の尊厳の問題だ。国の威信にかけて成功
させてみせる」
池大使のあまりの強硬姿勢に、張副部長は「これはもはや、中国が中止を申し入れても
無駄である」と、説得をあきらめたという。
北朝鮮の〝暴走〟に、東アジア情勢のキープレイヤーであるアメリカ、中国双方が頭
を痛めている。
オバマ大統領にとって、北朝鮮のミサイル発射は外交戦の敗北として、今秋に控える
大統領選挙に致命的な影響を与えるかもしれない。CSISのラリー・ニクシュ氏が説明する。
「先の米朝合意では、食糧支援の条件として『ミサイル発射実験を行わないこと』が確認
された。これには『人工衛星の技術テストも含まれる』ことをアメリカは北朝鮮側に念押し
しています」
その合意がいとも簡単に破られたのだから、オバマ大統領をはじめ、アメリカの
外交関係者のメンツは丸潰れなのである。
交戦の可能性
韓国・ソウル大学統一平和研究院の張容碩博士は、メンツを潰されたアメリカが、
今後は強硬な姿勢を採る可能性について指摘する。
「オバマ氏が大統領に就任した'09年に北朝鮮はミサイルを発射し、そして大統領選挙の
ある年に再びミサイルを撃たれることになる。2度の〝失態〟に米政権内で北朝鮮との
協調を訴えていた勢力が力を失い、オバマ大統領は再選のために北朝鮮を批判し、
強硬策を推し進めるかもしれない」
張博士が危惧するのは、アメリカが強硬姿勢に出ることで、黄海(西海)で米韓と
北朝鮮の衝突が起こることである。
「北朝鮮とアメリカの間で結ばれている休戦協定では、西海上はその対象となっていません。
アメリカが直接的な行動に出なくとも、行動をともにする韓国が北朝鮮を刺激すれば、
一触即発の状態が生まれるでしょう」
その兆候はすでに現れている。3月20日、アメリカ軍は韓国・釜山で主力装備の装甲車
を公開。さらに25日から27日にかけて韓国を訪問するオバマ大統領は、滞在中に韓国と
北朝鮮の軍事境界線付近の非武装地帯を訪問する予定だ。実現すればブッシュ大統領
以来約10年ぶりの非武装地帯の視察となるが、これが北朝鮮を刺激すれば、張博士が
懸念するように、黄海上で交戦が起こることも考えられるのだ。
もう一方のキープレイヤーである中国は、この問題にどう対応するつもりか。冒頭の二人
の会話のやりとりをみれば、北朝鮮をコントロールしきれない中国側の困惑ぶりが
よくわかるはずだ。
それでも中国は、最後の説得を試みている。19日夜、中国政府の朝鮮半島問題特別
代表の武大偉が、北朝鮮外務省副大臣の李勇浩との会談をセッティングしたのである。
しかし、その成果は芳しいものではなかった。
「会談の場で、中国側は執拗に発射中止を迫りましたが、やはり北朝鮮側は頑なにこれを
拒否しました。ただ、武特別代表も、なんの成果もなく会談を終わらせるわけにはいかない。
そこで、北朝鮮側の狙いがどこにあるのかを、改めて李副大臣に問い質しました。すると
李副大臣は、『われわれ新体制(金正恩体制)は、アメリカと敵対するつもりはない。
ミサイル発射はあくまで国内向けで、対外的交渉は協調路線で進めるつもりだ』と
明かしたのです」(外務省関係者)
北朝鮮「暴発」の可能性を恐れていた中国は、この言葉を引きだしたことでひとまず
引き下がり、今後の状況を注視することに落ち着いたという。中国の外交関係者が、
その本音を明かす。
「中国が憂慮しているのは、金正恩が指揮能力を失い、軍部が台頭して予測不能の事態
を起こすことだ。北朝鮮と国境を接するわが国の安全を揺るがすような事態は当然
避けたい。
また、万が一にも発射された衛星がわが国に落下して国民が犠牲になれば、世論が
沸騰して大変なことになる。それが避けられるのなら『静観』を続けるのが得策と判断
している」
とはいえ、中国も国際社会の目を考慮して、なんらかの行動をとらざるを得ない。
そこで現在検討されているのが、金日成生誕100周年記念式典への、中国政府幹部の
出席を見合わせることだ。別の中国外交関係者が語る。
「もともとは、李克強副首相か、張徳江副首相を派遣する予定だったが、衛星打ち上げ
強行で訪朝団の派遣を取りやめ、平壌の大使に代行参加させることも考えている。
短期的には中朝関係が冷え込んだものになることは避けられない」
北朝鮮に最も近い中国さえ、北朝鮮を押さえ込むことができない状態にある。
このことを国際社会は重く受け止めねばならない。
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